還暦を機に始めた撮影トレッキングに行ったネパールヒマラヤ・パキスタンカラコルム・ヨーロッパアルプス・日本アルプスなどの山岳写真のほか内外の風景写真を掲載しています。


by chusan8611
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(27)シルクロ-ド紀行2007前編《シルクロードを行く》

Chusanの写真ブロブ《感動発信!感動共有!》
No27:シルクロ-ド紀行2007前編《シルクロードを行く》

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2007年10月中旬、若い時からの夢であった《シルクロードへの旅》に行って来ました。還暦を機に始めた《ヒマラヤ巡礼》の最終稿の有力なシーンとして、ヒマラヤ西端に位置するタクラマカン砂漠を,夕日に輝くシルエットのラクダ隊のシーンを考えていました。

私のシルクロードへの夢は、若いときに読んだ井上靖「わが一期一会」(1975年毎日新聞社出版)に収録されている「シルクロード」から始まりました。その後、1980年4月にNHKが放映した「シルクロード」を見て、彼の地を訪ねて見たいという想いは募るばかりでした。そんなことを写真仲間に話したところ、仲間たちも同じ想いを持ち続けていたのでしょうか、今回のシルクロード紀行が実現しました。

シルクロードは、ユーラシア大陸を横断して東西を結ぶ《古代の交通路》です。中国の絹がこの道を通って西方へ運ばれたことから、《シルクロード・Silk Road》と名づけられました。東は中国の《長安(現・西安)》から西アジアを経て西は《ローマ》に至る全長7000kmの道程です。

今回の旅では、西安~ウルムチ~トルファン~カシュガル~カラクリ湖~タクラマカン砂漠というルートでしたが、《天山山脈》と《崑崙山脈》に挟まれたルートを旅して来ました。砂漠の厳しさを実感させられた10日間の旅でした。フィルム&デジタル作品の整理が済みましたので前編(シルクロードを行く)と後編(カシュガル点描)に分けて投稿します。

  2007―12-5 加藤忠一記

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01*燃える火焔山:新疆ウイグル自治区・トルファンにて*トルファンはシルクロードの要塞で古代西域の中心都市の一つであった。このトルファン盆地の北東に、古代書物に「赤石山」と記され、赤い砂岩でできた火焔山がある。明代の小説「西遊記」にも出てくる「火炎の山」である。海抜がゼロメートルより低い所もある盆地にあるため、このすり鉢状の地形が、真夏の太陽に照らされると平均気温が40度を越す灼熱をもたらすのだという。

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02*火焔山の観光ラクダ:新疆ウイグル自治区・トルファンにて*火焔山はトルファンから近いこともあり、シルクロード観光の目玉の一つになっており、大勢の観光客で賑わっている。火焔山の周囲を観光する《ラクダ観光》が観光客には大人気と聞く。

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03*遺跡・高昌故城にて:新疆ウイグル自治区・トルファンにて*高昌故城はトルファン市街から40kmほどのところにあり、西域最大級の《城址遺跡》である。紀元前1世紀に要塞が築かれ、5世紀末に《高昌国》の都として栄えたという。外城はまだ城壁のおよその輪郭をとどめている。故城の跡にたたずめば栄華のときが甦ってきそうである。

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04*高昌故城観光:新疆ウイグル自治区・トルファンにて*高昌故城は広さ200万㎡に及ぶ遺跡にためロバ車で観光巡りをする。何台ものロバ車が行き交う様は古代遺跡に似つかわしくないが、車が入るよりはよしとしなければなるまい。

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05*玄奘法師の説教寺院:新疆ウイグル自治区・トルファンにて*この円形の寺院は玄奘三蔵がインドへ赴く途中、熱心な仏教徒たちに説教した所と言われている。もちろん、煉瓦造りに復元されてものであるが、中に入って瞑想すれば往時が偲ばれてきそうである。

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06*外城遺跡と火焔山:疆ウイグル自治区・トルファンにて*高昌故城の外城の一角に立ってみた。茶褐色の外城に夕陽が差し込み、その向うには火焔山が霞んで見えていた。

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07*ワインロード:新疆ウイグル自治区・トルファンにて*宿泊ホテルの前の道路の上は大きな棚が作られ葡萄の蔓がはられている。そういえば、トルファンは葡萄の名産地で干し葡萄が美味しいと聞く。観光用に作られたものであるが、夏の暑さの中、青々とした葡萄の房がぶら下がっている様は涼しいに違いない。

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08*ぶどう園にて:新疆ウイグル自治区・トルファンにて*われわれのツアーは撮影ツアーのため、あまり買い物に出掛けないが、トルファンに来たからには是非とも干し葡萄を賞味したいと思い、ガイドに頼んでぶどう園を案内してもらった。農家のぶどう棚には摘み残った葡萄がぶら下がり、そのいくつかを食べてみたら糖分が残っていて甘いのには驚いた。

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09*干し葡萄の展示即売:新疆ウイグル自治区・トルファンにて*ぶどう園の主人がブドウ畑などを案内してくれたあと、干し葡萄を試食させてくれた。たくさんの種類の葡萄があることにも驚かされたが、その味の豊富さにも驚かされた。とくに、葡萄の蔓がついたままの干し葡萄は、甘さとほのかな香りが絶品で私のお気に入りになった。

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10*マーケットの果物屋さん:新疆ウイグル自治区・ウーバール村にて*トルファン盆地やカシュガルは天山山脈からの豊富な《雪解け水》に恵まれ、多くの果物が栽培されている。マーケットに行くと特に目につくのが果物屋さんである。この時期(10月中旬)葡萄はあまり見かけないが、ハミウリとザクロやミカンが最盛期で、とくに《ハミウリ》はほのかな甘さとみずみずしさがあり、肉料理を食べた後のデザートとして最高のご馳走になった。

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11*ナンの店先にて:新疆ウイグル自治区・ウーバール村にて*ナンは小麦粉を煉って焼きあげたもので、シルクロードの人たちの常食になっている。塩味がして大変日本人にも合う食べ物で、私も好んで食べてみた。ガイドの話では、《ナン》は日持ちも良く長期の旅には必ず持って行くという。

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12*肉屋さんにて:新疆ウイグル自治区・ウーバール村にて*カシュガル郊外のウーバール村のマーケットには、近郊からたくさんの人たちが買い物に来て賑わっている。果物、パン、野菜、塩、香辛料、肉などが露天の店先に並ぶ。中でも羊肉は砂漠のご馳走で最高の贅沢品だそうだが、砂漠の羊は塩気のある土壌で育った草を食べるので多少塩味がするという。カシュガル最後の夜、ツアーコンダクターの廖さんが《子羊の丸焼き》をプレゼントしてくれた。ブタの丸焼きには驚かないが、羊の丸焼きにはいささか驚かされた。

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13*名物シシカバブ:新疆ウイグル自治区・ウーバール村にて*カラクリ湖に行く途中ウーバール村にて昼食をとったが、何と言っても名物は《シシカバブ》だった。羊肉を鉄の串にさして焼いたものであるが、最初は用心していたものの、帰路に立ち寄った際には食べ過ぎてしまい、見事に急行列車に襲われてしまった。

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14*シシカバブを焼く:ウーバール村シシカバブはドラム缶を改造した特性の《串焼き釜戸》に差し込んで焼いていた。ドラム缶を覗くと炭火が置かれそこに差し込んでから蓋をするのでこんがりと蒸し焼き状態になる。

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15*ポプラと紅山:新疆ウイグル自治区・ウーバール村郊外にて*カラクリ湖へは天山山脈と崑崙山脈の谷間を登りつめて行く。次第に谷間が狭くなり砂山の向うに赤い山並みが続く。ガイドに聞くと《紅山》とのこと。ここから高度を高めながら谷間を遡って行く。

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16*砂漠の無名峰:新疆ウイグル自治区・ボロン湖にて*天山山脈と崑崙山脈に挟まれた谷間を登りつめると塩湖の《ボロン湖》に到達する。湖といっても乾季のためか、湖面はほとんど干上がってしまっており、ところどころ岩塩が見え隠れしていた。この湖は風の通り道で、谷間からの強風に乗よって大量の砂が吹き上げられ砂山が築かれたという。
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17*カラクリ湖に倒影する高峰:新疆ウイグル自治区・カラクリ湖にて*カラクリ湖畔では《パオ》と称される遊牧民用のテント(モンゴルのゲルに似ている)に泊まる。夕方、陽が傾き始めた頃を見計らって湖畔に立つ。夕陽の沈む右方向にムスターグ・アタ峰7546m(中国名・慕土塔格山)が屹立し、その雄姿を湖面に倒影していた。湖面にさざなみが立たない時と山頂の雲の姿の良い時を見計らって何枚かのシャッターを切ってみた。カラクリ湖山荘の主人によれば、主峰は手前の山稜だそうである。

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18*夜明けのコングル峰7719m:新疆ウイグル自治区・カラクリ湖にて*夜明けの高峰が紅く染め上げて行くのを期待して早朝から湖畔にて待つことにした。朝日はムスターグ・アタ峰とコングル峰の中間の山並みから差し込んできた。真っ暗な湖面の向うに一筋の光が走り、前山の頂上に一点の赤光が差し込んだ。この時を待ってシャッターを切ってみた。右奥の主峰にはさかんに雪煙が上っている。コングル峰7719m(中国名・公格爾山)は崑崙山脈の最高峰で大きな連峰が連なる名峰である。

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19*朝焼けのムスターグ・アタ峰7546m:新疆ウイグル自治区・カラクリ湖にて*朝光が差し込み最初に紅くなり始めたのはムスターグ・アタ峰の東斜面であった。頂上付近にかかった雲が燃え始め東壁が輝くとカラクリ湖の湖面も赤く染まり始める。

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20*朝陽差し込むコングル峰7719m:新疆ウイグル自治区・カラクリ湖にて*右手のムスターグ・アタ峰の東壁と頂上のドラマが終わると次第に朝の光が左手のコングル峰に差し込み始める。まず、コングル連峰の稜線上の雲に一筋の光が届き始めると、その光は稜線から次第に下に落ちてくる。その光りが落ち込んだところが褐色の前山辺りであった。この頃になると湖面が薄蒼く光を投影し始めた。

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21*夜明けのコングル峰7719m:新疆ウイグル自治区・カラクリ湖にて*しばらくすると、コングル連峰の稜線上に形のよい雲が出はじめ、右奥の主峰には雪煙が流れ始めた。

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22*カラクリ湖のチベット村にて:新疆ウイグル自治区・カラクリ湖にて*一連の朝のドラマが終わってから、朝食後、カラクリ湖西端にあるチベット村《スバシ村》を訪ねた。この村はヤクや羊の放牧で生活しているチベット村で、ここで定住しているようであった。われわれが訪ねると馬に乗った青年二人が物珍しそうにやってきた(後方の山はムスターグ・アタ峰)。

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23*朝のチベット村にて:新疆ウイグル自治区・カラクリ湖にて*この村の放牧地は砂地の湿地帯で牧草の育ちもあまり良くなさそうである。わずかに枯れ残った草をロバが食んでいた。手前に干されているのはヤクの糞で村人の貴重な燃料である(背後の山はコングル峰)。

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24*羊の放牧へ:新疆ウイグル自治区・カラクリ湖にて*村人にとって羊は貴重な家畜であり財産である。毛皮やバター、チーズは唯一の現金収入になり、毛糸や毛皮などは極寒の地での防寒具となる。

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25*誇らしげに携帯を見せる少年:新疆ウイグル自治区・カラクリ湖にて*われわれを見つけて真っ先に近寄ってくるのは子供と老人である。この地にも都会の玩具《携帯》が入り込んでいる。この少年は誇らしげに首からぶら下げた宝物を見せながらポ-ズをとってくれた。

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26*凍る小川:新疆ウイグル自治区・カラクリ湖にて*10月中旬になると朝晩は相当に冷え込む。前夜、われわれの宿泊したテントの《パオ》は夜中にストーブの石炭が切れ寒さで何度も目が覚めたし、乗って来たマイクロバスに残したペットボトルの水が凍っていた。

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27*待機するラクダたち:新疆ウイグル自治区・岳普湖にて*カラクリ湖とスバシ村の撮影を終えてから一旦カシュガルに戻り、ツァー最終目的地のタクラマカン砂漠を目指した。広大なタクラマカン砂漠の西の果て《岳普湖》付近の砂漠を見て廻った。砂漠に入る交通手段は《ラクダ》が一般的なようである。ラクダの前足は大きくて砂に強い。人を乗せても砂に足を取られることはなく、正確もおとなしい動物でもあり安心な乗り物のようである。ただ、乗り心地はあまり良くなく、高さもあるので慣れるまで時間がかかりそうである。

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28*ラクダ隊:新疆ウイグル自治区・岳普湖にて*ラクダには木製の鞍が乗せられており、鞍には厚めのふとんや絨毯がひかれているので乗り心地は悪くはない。ただ、乗る時にしゃがんだラクダが立ち上がると大きく前後に揺れるのでふり落とされないように気をつける。

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29*砂漠へ出発:新疆ウイグル自治区・岳普湖にて*しゃがみこんだラクダに乗り込み砂漠へ出発する。一行のラクダ隊は計11頭である。ラクダたちが一斉に立ち上がると大変な砂煙が立ち込める。馬方は2~3頭に一人が付き、ロープで繋がれているので安心である。

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30*行き交うラクダ隊:新疆ウイグル自治区・岳普湖にて*この日は夕陽の砂漠撮影のため夕方の出発となる。この時間帯は一般の観光客は帰ってくる時間でお互い挨拶を交し合う。

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31*砂漠のラクダ・トレッキング:新疆ウイグル自治区・岳普湖にて*この付近の砂漠は、タクラマカン砂漠の西端で入り口付近なので砂丘自体はそれほど大きくはない。同じ形をした丘ばかりが続く砂の海を、夕陽に染まる斜光の砂丘を求めて奥地を目指す。

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32*タクラマカン砂漠の三千年樹:新疆ウイグル自治区・岳普湖にて*胡楊はヤナギ科の樹木で、大木になると幹の直径が1m以上にもなる。ウイグル族から《英雄の木》ともよばれるこの木は、「生きて千年、枯れて千年、倒れて千年」と言われているという。根は地下10mにも達し、砂漠の乾燥に耐えて生き続け、枯れてもなお倒れず、倒れたのちも長いあいだ腐ることなく地上に残る木である。この木は宿泊ホテルの入り口にあったものであるが、近くの砂漠では見つけられなかった。タクラマカン砂漠の北部を流れるタリム河中流域には、中国最大の胡楊の天然林があると聞くが、次に機会にはタクラマカン砂漠の横断をして《黄葉の胡楊の自生林》を撮ってみたい。それにしても、胡楊の木はたくましい生命力を見せてくれるものである。

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33*砂漠点描:新疆ウイグル自治区・岳普湖にて*われわれの入ったタクラマカン砂漠は最西端地の岳普湖がある地点で砂漠の出口付近である。そのため観光ラクダが出入りしていて、その足跡も多く見られ写真には撮りづらい場所であった。タクラマカン砂漠もホータンからクチャ辺りの中央部に入れば、足跡などない大砂丘が続き、スケールの大きい写真が撮れるという。

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34*砂漠横断のラクダ隊:新疆ウイグル自治区・岳普湖にて*シルクロード時代には、この大砂漠を絹を背負ったラクダが往来していたのであろう。まさにこの地は、世界の東西の中心をつないだ《絲綢之路・しちゅうのみち》であった。この大砂漠を横断して東西文明が行き交っていった十字路であったのであろう。この砂丘に立ってみて、そんな感慨に耽っていた。馬方に頼んで乗ってきたラクダ隊に砂漠横断を実演してもらい、そのシーンを再現してもらった。地元ガイドによれば、現在の砂漠横断は鉄道とトラックが利用され、ラクダでの横断は観光用以外に見られないという。

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35*砂漠からの帰途:新疆ウイグル自治区・岳普湖にて*今回の砂漠撮影はあまり天候に恵まれず、《夕陽に染まる砂漠》や《月光の砂漠》を撮れずタクラマカンを後にしたが、またいつの日か訪ねて見たいと思いつつ、帰途のラクダの背に揺られていた。 (完)
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by chusan8611 | 2007-12-07 13:25 | 世界の山岳風景