還暦を機に始めた撮影トレッキングに行ったネパールヒマラヤ・パキスタンカラコルム・ヨーロッパアルプス・日本アルプスなどの山岳写真のほか内外の風景写真を掲載しています。


by chusan8611
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(34)ランタンコーラ花紀行1997

Chusanの写真ブロブ《感動発信!感動共有!》
NO34:ランタンコーラ花紀行1997

ランタン・コーラ(谷)はネパール・ヒマラヤのほぼ中央に位置し、ランタンヒマール山群を東から西へ貫くランタン川(全長43km)に沿った細長い谷です。夏には《黄色いケシ》や《エーデルワイス》など色とりどりの高山植物で谷が埋め尽くされます。イギリスの登山家・ティルマンが「世界で最も美しい谷」と絶賛した場所です。

ネパールの首都・カトマンズからも近く、標高もあまり高くない(3000m~4000m)ことから、トレッカー客も多い地域です。この地は還暦を機に始めた《ヒマラヤ巡礼》の最初の訪問地であり、私にとって記念すべき思い出の地です。この地は、ヒマラヤでも《フラワートレッキング》として人気で、われわれも7月中旬出発としました。

トレッキングといっても、荷物はスナップ用の35mmカメラ一台と小型ザック一つという軽装で、食糧や炊事道具はポーターが運んでくれますし、重いカメラ機材もカメラ・ポーターが運んでくれます。

ランタンコーラへは、カトマンズから四輪駆動車で8時間、登山口のシャベルベンシ(2300m)で一泊してから、一週間ほどのトレッキングになります。最終キャンプ地のキャンジュンゴンバ(4000m)まではきつい登りが続き、亜熱帯樹林通過では山ヒル(ネパールではズガと言います)の襲来にあいながらのトレッキングになります。3000mを過ぎると《山ヒル軍団》の襲撃もなく、咲き乱れる高山植物を眺めながらの登山になります。ただし、この時期は《雨季》になるため、「朝のうちは曇り・時々雨」、「昼間は曇り・時々晴れ」、「夕方は小雨」、「夜は大雨」という気象パターンでした。ランタン川はかなり増水し、コースのいたるところが崖崩れで通行不能になっており、迂回しながらのトレッキングになります。ランタン村では農作業見物やら、村人たちとのふれ合いがあり、楽しい出会いがありました。

このシーズンは雨季のため、訪れるトレッカーも少なく、宿泊したロッジ(素泊まりで、食事は同行のコック&キッチンボーイが世話してくれる)では、われわれ3人のほか、アメリカ人とカナダ人の2パーティーだけでした。

最終キャンプ地・キャンジンゴンバは石垣で囲まれた畑の中にトレッカー宿泊用のロッジが数件あり、その周囲にはランタン山群の主峰ランタン・リルン(7225m)をはじめ、キムシュン(6745m)、ヤンガ・ツェンジ(6545m)、ナヤ・コンガ(5856m)、ポンゲン・ドボク(5930m)などの高峰が展望できます。

朝夕は山岳撮影にあてますが、昼間は高山植物撮影をしながら過ごしました。そのほか、同行のシェルパが村人のロッジへ案内してくれて、ジャガイモをご馳走になったり、生活道具などの撮影もさせてくれました。

カトマンズへの帰路は、ヘリコプターをチャーターしており、上空からランタン山群などを空撮しながら、カトマンズまでわずか50分ほどのフライトでした。
 
   2008-07-02  加藤忠一記

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01*シャベルベンシ(2300m)にて*カトマンズをランクル車で出発して8時間、途中、何ヵ所かの村のチェックポイントを通過して最初の宿営地シャベルベンシに着く。この村はランタンコーラへの出発地であり、何軒かのロッジがランタン川沿いに建てられている。この村でポーターの何人かを雇う。

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02*吊り橋を行く:シャベルベンシにて*シャベルベンシ村をしばらく行くとランタン・コーラに架かった吊り橋を渡り、ランタン川の右岸を登って行く。これからは何か所かランタン川を左右に渡りながらランタン谷を上り詰めて行く。

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03*樹林帯の奇木*ランタン谷は不思議な谷である。このヒマラヤ山中に亜熱帯の植物がいろいろと自生している。観葉植物の類やシダの類、着生ランの類などである。ここは標高2000mくらいで乾季の冬でも雪が降らず、インド方面から暖かい風が吹き込んでくるのでこれらの植物が育つといわれている。いろんな形と色合いの木々も見られる。この木は《人間のカカシ》のようにも見え、思わずシャッターを切ってしまった。

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04*絶壁の蜜蜂の巣:ラマホテル付近にて*ポーターが指さす方向を見ると絶壁のあちこちに蜜蜂の巣がぶら下がっている。ポーターの話では、この付近の村人はロープで岩壁を下がり、蜜蜂の巣を採ってくるという。そういえば、NHKテレビで「ヒマラヤのハニーハンター(密を採る専門家)」という番組を放映したことを思い出した。まさに命がけの大下降をしながらの採取である。

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05*ランタン村を目指して:ゴバタベラ3000mにて*2500mの森林限界を過ぎると広々とした草原・ゴラタベラに着く。この付近の草原には色鮮やかな高山植物が群生し目を楽しませてくれる。道の右側に咲くピンク色の野バラ(ロサ・マクロフィラ・バラ科)を見ながら、石垣の小道をランタン村(画面中央奥)目指して上り詰めて行く。

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06*ユリの仲間:ゴラタベラ3000mにて*ランタン川沿いの草原には独特の色と形をしたユリの仲間、リリウム・ネパレンセ(ユリ科)が見事に咲いていた。花は5cmほどでいくつもぶら下がって咲いていた。

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07*スズランのような花*ゴラタベラの草原ですずらんにそっくりな花をみつけた。下向きの咲く姿が可憐であった。テロポゴン・バリドゥス(ユリ科)という花である。

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08*マニ車の水車:ランタン村3500mにて*ランタン村入口にマニ車の水車小屋があった。夕方近くで岩壁はガスに覆われ始め、一筋の滝が流れ落ちていた。

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09*雨上がりのランタン村にて:ランタン村3500m*朝早く起きてみると、夜半からの大雨も止み、一軒の家から朝餉の支度であろうか、一筋の煙が立ち上っていた。かって、日本でも見ることができた田舎の原風景である。

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10*機織りの母親たち:ランタン村3500mにて*ランタン村の母親は忙しい。農作業や家事はもちろん、子供たちなどの衣服も作らなければならない。ランタン村の子供たちは母親の愛情を一身に育って行く。

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11*洗濯物の手絞り作業:ランタン村3500mにて*梅雨時の一瞬の晴れ間には洗濯物を干すのに忙しい。布団のシーツであろうか、二人して絞り上げていた。

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12*蓑を使う農婦:ランタン村3500mにて*庭先で農婦が脱穀した麦を蓑ですいていた。日本の田舎でも見られたシーンであるが、なにかホッとするものがあった。

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13*ガキ大将たち:ランタン村3500mにて*ヒマラヤの奥地ではわれわれトレッカーはめずらしい見せものであろうか。子供たちが何処からともなく現れ、じっと見つめている。頬被りの少年、二本バナの少年にかっての自分をだぶらせていた。

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14*ジャガイモ畑:シンダム3600mにて*ランタン村は標高も高く、土地も痩せあまり作物も育たない。畑にはジャガイモが多く植えられていた。彼らにとってジャガイモは貴重な食糧である。 

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15*はだか麦(チンコー)畑:シンダム3600mにて*麦も耕作されているが裸麦である。チンコーと言うそうであるが、折からの風に穂先がなびいていた。

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16*ランタン川水辺のお花畑:シンダム3600mにて*シンデム(3500m)からシャベルベンシ(4000m)までのU字谷にはランタン川が流れ、その水辺には黄色いサクラソウほか色とりどりの高山植物が咲き乱れている。晴れていれば、この辺りは、はてしなく続く青い空と光る雪嶺にかこまれ、美しい花たちが《天国に近い雲上の楽園》を見せてくれる。

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17*U字谷のお花畑:シンダム3700mにて*U字谷には白い花のアネモネやピンク色のビストルタなどが咲き誇り、あたり一面はカーペットを敷きつめたような花園になっている。この場所にはアネモネ・リプラリス(キンポウゲ科)の大群落がみられ、他の花が入り込む余地がないほどの《アネモの天国》になっている。見事なまでの一面の純白の草原は壮観である。

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18*エーデルワイスの仲間:シンダム3700mにて*ランタン谷の草原のあちこちにはエーデルワイスの仲間たちも咲き乱れている。この花はレオントポディウム・ヤコティアヌム(キク科)というエーデルワイスの仲間で背丈は10cmと小型である。ヒマラヤには何種類ものエーデルワイスの仲間が大群落で自生している。

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19*黄色いケシ:シンダム3700mにて*ランタンコーラで一番撮りたかった花の一つである。この《黄色いケシの花》はメコノプシス・パニクラタという品種で、ケシ科の中で一番の大型種である。斜面に林立している様は見る者を感動させてくれる。ネパール・ブータン・チベットなどの標高3000m~4000mの高山帯に分布し、花は上部から順に咲き、次第に下部へと咲いていく。今回は《青いケシ・メコノプシスホリデュラ》は撮影できなかったが、2003年8月ゴーキョピーク(5000m)では青いケシ、2006年7月には中国・巴朗山峠(4000m)で青いケシ&赤いケシ&紫のケシ&黄色いケシなどを撮影できた(2006-09-09投稿・四姑娘山の青いケシ:2006-09-10投稿・ヒマラヤの青いケシ参照)。

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20*道端に咲くユリの仲間:シンダム3700mにて*U字谷の登山道脇にはユリの仲間たちが目を楽しませてくれた。ノトリリオン・マクロフィルム(ユリ科)という花で、赤味がかった紫色が美しい花である。このほかユリの花は3種類ほどを見かけた。

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21*ランタン谷のお花畑:シンダム3700mにて*U字谷も上部に行くと背丈の低い小型種の花が多くなってゆく。ここ4000近い道の両側にはピンク色のビストルタや黄色いキンポウゲ科の花たちが咲き乱れている。

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22*ランタンコーラお花畑を行く:キャンジュンゴンバ下3800mにて*標高3500m~4000mに差しかかると酸素不足となり息苦しさが出てくる。シェルパたちから「ビスタリー、ビスタリー(ネパール語でゆっくり、ゆっくり)の声がかかる。登りと酸素不足はつらいが、両側に咲き乱れる花たちが励ましてくれる。

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23*朝のロッジ村にて:キャンジュンゴンバ4000mにて*ここは最終キャンプ地のキャンジンゴンバである。石垣で囲まれた畑と広い草原の中に数件のロッジがある。この村には地名にもなっている古いゴンバ(寺院)とチーズ工場がある。ここのロッジに素泊まりし、食事はポーターたちに作ってもらい、周囲の高峰や高山植物を撮影しながら数日間を過ごした。

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24*チベット犬《クロ》:キャンジュンゴンバ4000mにて*ロッジで一休みしていると、大きなチベット犬が近寄り、さかんに尾を振っている。ビスケットをやると喜んで食べた。ポーターに聞くとやさしいチベット犬で人に危害は与えることはないという。安心して干し肉をやる。《クロ》と名付けたが、この後クロは我々一行の仲間のような顔をして付きまとっていた。

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25*無名峰とランタン・ルリン峰:キャンジュンゴンバ4000mにて*朝夕の撮影はモンスーン(雨季)であるから期待しなかったが、滞在最終日の朝は霧が一瞬切れかかり、主峰のランタン・リルン(Langtang Lirung 7245m)が無名峰の奥から顔を覗かせてくれた。この一瞬が過ぎ去ると二度とわれわれの前に顔を見せることはなかった。

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26*雲湧くキムシュン峰:キャンジュンゴンバ4000mにて*主峰ランタン・リルンの右稜線には形の良いキムシュン(Kimshun 6760m)が見える。ランタン谷からは絶えず雲が湧き上がり稜線が見え隠れしている。

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27*ナヤ・コンガ峰:キャンジュンゴンバ4000mにて*早朝は気流の変化が激しいためか霧に覆われることが多かったが、時間が経つにつれ正面の山々がくっきりと姿を現した。このナヤ・コンガ(Naya Konga 5846m)は堂々とした山容で真正面に屹立している。

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28*ポンゲン・ドボク峰:キャンジュンゴンバ4000mにて*東のチベット側には立派な氷河をもったポンゲン・ドボク(Poggen Dopku 5930m)が青空をバックに姿を現した。この朝は二時間ほど周囲の高峰を撮影できたが、その後天候が不安定となり、ランタン谷に雲が出てしまうとヘリコプターが飛べなくなってしまう。そのため予約していたヘルコプターを早め、早々にランタン谷を後にした(ヒマラヤの天候は急変しやすく、2002年8月のゴーキョピーク撮影ではシャンボチェ(3800m)に待機していたヘリコプターが濃いガスのため離陸できず、一週間缶詰を余儀なくされた)。   
                                         
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29*撮影スナップ:ランタンのお花畑にて:1997/07:ネパール・キャンジュンゴンバ3900m* 《完》
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by chusan8611 | 2008-07-02 16:37 | 世界の山岳風景